Excelで出来る業務改善

ちょっとした工夫・知識で、効率アップが図れるExcel利用方法をお伝えしていきます。

Excelの書き方を統一しよう!(第1回)1つのセルに複数のデータを詰め込まない

書き方の工夫で変わるExcel資料作りの作業効率

公的機関も作成しているガイドライン(入力・表記ルール)

令和2年12月に、総務省より「統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール」が公表されました。Excel作成に関するガイドラインが示されています。

www.soumu.go.jp

このガイドラインでは、データの集計、加工や再利用をする際の作業効率アップにつながる内容も含まれており、組織的なルールやガイドラインを用意することの必要性を考えるきっかけにもできそうです。

今回から、ガイドライン内に記載されているテーマの中から、ルール化の効果が大きそうな項目をピックアップし、実務現場での「あるある」的な実例を加えて補足説明しながら紹介していきます。

【テーマ1】1セルには1種類のデータだけを入力する

ガイドラインに、以下の記載があります。

1セルに複数のデータが⼊⼒されていると、計算や昇順・降順の並べ替え、コピーペーストやグラフ化等加⼯編集する場合に多くの⼿作業やプログラムの作成が必要となり、すぐにデータとして利⽤できないため、1セル1データの⼊⼒とすること。

1つのセルに、1つのデータ(情報)のみ入力することを促しています。具体例を見ながら、確認していきましょう。

例として、各支社の売上金額と仕入金額を表す下図のような表データについて考えてみます。各セルには、各支社のデータが「、」で区切られて、すべてまとめて入力されていることが分かります。

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各支社の売上金額・仕入金額表

もし、上図の表データを利用して「売上金額における仕入金額の割合」を計算する必要が発生した場合、そのままでは計算式を作成することができず、計算のために各支社ごとに数字を分けた資料(下図、左表)を作成し直す手間が発生します。

元の表データが、1セル1データとして入力されていれば、追加で行う作業は、隣に1列追加して、セルに計算式を入力するだけで済みます(下図、右表)。

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各支社毎の売上金額における仕入金額の割合

もう1つ例を挙げてみます。下図の表には、従業員情報が表にまとめられています。各セルには、氏名、ふりがな、メールアドレスのデータが入力されていることが分かります。

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例:従業員名簿

このままの状態だと、例えば、「ふりがな」順にデータの並び替えを行うことは簡単にはできません。「ふりがな」のデータをセルの最初に入力し直す、隣に1列追加して並び替えのためだけに「ふりがな」を再入力する等の手間が発生します。

1セル1データとして入力されていれば(下図)、Excelの並び替え機能を使用して「ふりがな」順に並び替えることは容易です。

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Excelの並び替え機能の利用

ここまでの例で、1セル1データで作成することによる次のようなメリットを紹介しました。

  • 他の値を求めるための計算処理の際にセル内の数字を分けて入力しなおす手間が省ける。
  • 目的の情報での並び替えを容易に行うことができる。

他にも、1セル1データでの作成でなければ発生しそうな不都合は、いろいろなシーンで発生しそうです。

 


 

ガイドラインを作成してみませんか?>

自身の業務について振り返ってみてください。

  • 暗黙的なExcel作成のルールはありませんか?
  • そのようなルールを作成した経緯・背景は何だったでしょう?

ルールやガイドラインは、不便や不都合など何かしらの状況発生を通して作成・蓄積されていくことが多いものです。

だとすれば、あらかじめExcel作成ガイドラインが用意されていれば、不便や不都合の発生を予防することができるかもしれません。冒頭で紹介した総務省ガイドラインをはじめ、他組織が策定したルール集やガイドラインを自身または自組織のガイドライン見直しのきっかけにも利用し、より良い内容に改善し続けていくことで、少しずつ身の回りの業務から不便がなくなっていくかもしれませんね。