Excelで出来る業務改善

ちょっとした工夫・知識で、効率アップが図れるExcel利用方法をお伝えしていきます。

Excelの書き方を統一しよう!(第4回)見た目を整えるためのスペースをやめる

書き方の工夫で変わるExcel資料作りの作業効率

今回は、見た目を整えるためのスペースがあることで生じてしまうデメリットを説明します。前回同様、実務現場での「あるある」的な実例を加えて補足説明しながら紹介していきます。

【テーマ4】見た目を整えるためのスペースをやめる

総務省より公表されたExcel作成に関するガイドライン統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール)に、以下の記載があります。

スペースや改⾏等で体裁を整えた場合、データの検索性が低下するほか、複数の表を横断的に利⽤する場合においても⽀障が⽣じる可能性がある。
そのため、体裁を整えるためのスペースや改⾏等は削除すること。

ガイドラインによると、スペース以外に改行等も省くよう促しています。具体例を見ながら、確認していきましょう。

 

好まれるお茶の種類について年代別にアンケートを取った表データについて考えてみます。項目名であるお茶の種類にスペースが入力され、体裁が整えられています。

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お茶の種類アンケート結果

例えば、キーワード「抹茶」と、スペースが入力された項目名「抹 茶」とでは、Excelは同じ文字だと判別できません。そのため、もし複数の表から検索をする必要が生じた場合、「抹茶」「抹 茶」「抹 茶」など複数のキーワードで検索をする手間が生じます。

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検索結果

また、別の表と合算し集計作業をする場合、スペースがない項目名とスペースがある項目名とではExcelは同じ文字だと判断できず、関数(VLOOKUP等)が意図した動作になりません。正しく合算、集計するには項目名を統一させる手間が発生します。

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合算集計のエラー

本来の情報とは関係のない(体裁のためのスペース等がない)項目名で入力されていれば(下図)、Excelの関数を利用して別々の表データを合算、集計することが容易にできます。

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項目名に空白がない場合の集計

もう一つ、例を挙げてみます。下図は商品の成分表のデータです。含まれている成分の項目名が改行を使用して体裁が整えられています。項目名で並び替えをする場合、Excelは改行まで含めた文字列で並び替えを行うため(下図、左下)、意図した並び替え結果(下図、右下)にならない場合もあります。

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並び替え結果

ここまでの例で、体裁を整えるためのスペース、改行を省いて表データを作成することによる次のようなメリットを紹介しました。

  • 目的のキーワードで検索を行う際に、検索漏れ等のデータの抜けが発生しない。
  • 他の表から合算、集計、統合をする際に、項目名を一致させる手間を省き、Excelの関数を利用することができる。
  • Excelの並び替え機能を利用することで、目的に沿った並び替えを容易にすることができる。

体裁のためのスペース、改行はデータとしては必要ない情報であり、見る人や応用活用する人にとっては、迷惑になるときもあります。項目名を一致させるだけでExcelの機能を利用し、容易に集計を行えるのであればルール化するのも一つの手ではないでしょうか。

検索、並び替え、Excel関数用の「項目」を用意する

資料に記載されている項目やデータを見て、利用・活用していくのは最終的には人間です。読みにくく見づらい資料よりは、見た目や体裁も整っている資料のほうが見やすいのは確かです。その場合、Excelのための検索、並び替え、関数用の「項目」を用意して、表データを作成する方法があります。

最初の例、お茶のアンケート結果の集計表データについて考えます。この表データでは、6種類のお茶についてアンケートをとっています。この6種類にExcelのための「項目」となるコードを設定します(下図、上)。アンケート結果にもコードを各々記入することで、検索、並び替え、関数などExcelの機能を利用する場合はコードを使用し、容易に作業を行うことができます。

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コードを使用した集計結果

 


 

ガイドラインを作成してみませんか?>

自身の業務について振り返ってみてください。

  • 暗黙的なExcel作成のルールはありませんか?
  • そのようなルールを作成した経緯・背景は何だったでしょう?

ルールやガイドラインは、作成していくうえでの不便や不都合など何かしらの状況発生を通して作成・蓄積されていくことが多いものです。

だとすれば、あらかじめExcel作成ガイドラインが用意されていれば、不便や不都合の発生を予防することができるかもしれません。冒頭で紹介した総務省ガイドラインをはじめ、他組織が策定したルール集やガイドラインを自身または自組織のガイドライン見直しのきっかけにも利用し、より良い内容に改善し続けていくことで、少しずつ身の回りの業務から不便がなくなっていくかもしれませんね。