Excelで出来る業務改善

ちょっとした工夫・知識で、効率アップが図れるExcel利用方法をお伝えしていきます。

Excelの書き方を統一しよう!(第11回)1シートに複数の表データを載せない

書き方の工夫で変わるExcel資料作りの作業効率

第11回は、1つのシートに複数の表データを記載した場合のデメリットについて説明します。前回同様、実務現場での「あるある」的な実例を加えて補足説明しながら紹介していきます。

  • 店舗毎の売上金額表データ及びシフト表データに従業者を追加する

では、細かく見ていきましょう。

【テーマ11】1シートに複数の表データを載せない

総務省より公表されたExcel作成に関するガイドライン統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール)に、以下の記載があります。

1シートに複数の表が掲載されているため、正確な計算や昇順・降順の並べ替えなどができない場合がある。
1つの表を1シートに分割して収録すること。

ガイドラインによると、1つのシートに対して、複数の表データを記載しないよう促しています。具体例を見ながら確認していきましょう。

 

店舗毎にシートを分けた、売上金額及びシフトの表データです。「住所」のように、1つの列の内容が他の項目と比べて著しく長い文字列のデータの場合、日付別売上金額の表データの項目が不要に長くなっています。

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売上金額及びシフトの表データ

体裁を整えるために、「住所」セルを結合したり、罫線等の見た目を変更する等の手間が発生します。

また、繁忙期等で従業者を増やす場合等、シート全体での行を追加すると、売上金額の表データが崩れてしまいます。範囲を選択して、1行ずつセルを挿入する手間が発生します。

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従業者が増えた場合の行挿入

各々の表データを別のシートにしておくことで、体裁を整える手間を省くことができ、行挿入、列挿入時に他の表データへ影響を及ぼすことはありません。

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各表データ毎、シートを分離した場合

ここまでの例で、1つのシートに複数の表データを記載しない、次のようなメリットを紹介しました。

  • 1つの行、列の内容が他の項目と比べて著しく長い場合等の、体裁を整える手間を省く。
  • 行の追加を行う際、他の表データへの影響がない。

データのまとめ方として、店舗別にシートを分ける手法、データを「店舗データ」、「売上金額データ」、「シフトデータ」とまとめる手法等、同一データでも様々な方法で表データを作成することが可能です。現在作業してるデータが業務に沿ったまとめ方になっているのか、今一度確認するのも大事なのではないでしょうか。

Excelの貼り付けオプションを活用する

資料の性質や、他業務の関係で複数のシートを1枚に印刷したり、1シートに複数の表を記載しなければならない場合は、表データをExcelの「図」として貼り付けることもできます。

先程例に挙げた、店舗毎の売上金額表データ及びシフト表データについて説明します。複数の表に分かれた表データのうち、1シートにまとめて記載する箇所を選択、コピーします。

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1シートにまとめた表データの箇所をコピー

メニュー > ホーム > 貼り付けの項目、下向き三角マークをクリックし、貼り付けオプションを選びます。様々な貼り付け方法の中から、「その他の貼り付けオプション」より、「リンクされた図」を選択します。

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貼り付けオプションの選択

コピーしたセルが「図」として貼り付けられます。リンク付けされているため、表データの値が上書きされると、図の値も更新します。

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行幅、列幅を無視した表データ

 


 

ガイドラインを作成してみませんか?>

自身の業務について振り返ってみてください。

  • 暗黙的なExcel作成のルールはありませんか?
  • そのようなルールを作成した経緯・背景は何だったでしょう?

ルールやガイドラインは、作成していくうえでの不便や不都合など何かしらの状況発生を通して作成・蓄積されていくことが多いものです。

だとすれば、あらかじめExcel作成ガイドラインが用意されていれば、不便や不都合の発生を予防することができるかもしれません。冒頭で紹介した総務省ガイドラインをはじめ、他組織が策定したルール集やガイドラインを自身または自組織のガイドライン見直しのきっかけにも利用し、より良い内容に改善し続けていくことで、少しずつ身の回りの業務から不便がなくなっていくかもしれませんね。