Excelの書き方を統一しよう!(第8回)単位を記載する
書き方の工夫で変わるExcel資料作りの作業効率
第8回は、単位を記載せず省略するデメリットについて説明します。前回同様、実務現場での「あるある」的な実例を加えて補足説明しながら紹介していきます。
- 商品必要数までにかかる予算と予定の算出
- 年度別売上高の表データ
では、細かく見ていきましょう。
【テーマ8】単位を記載する
総務省より公表されたExcel作成に関するガイドライン(統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール)に、以下の記載があります。
データの単位(物理単位、貨幣単位)は、データ処理に必須である。
そのため、単位が含まれる項⽬については、別セルにその項⽬の単位を⼊⼒すること。
ガイドラインによると、データの単位(km、円、¥、本等)が含まれる項目について、別のセルに単位を入力するよう促しています。具体例を見ながら確認していきましょう。
ある商品の製造可能数と良品数を示す表データです。例えば、最初の工程はABC製造会社に依頼し、次の工程をDEF加工会社にて依頼する場合を考えます。
データの単位を記載していないと、製造可能数は1個なのか、1セットなのか、1ダースなのか分からず、予算や予定を組むことができません。また、誤解を招く原因にもなります。商品毎のデータ単位のみではなく、1時間あたりなのか、1日あたりなのか、表データ全体でのデータの単位も必要となります。
データの単位があらかじめ記載されていれば、各表データの単位を合わせ、必要数のための予算や予定を算出できます。
もう一つ、例を挙げます。年度別売上高の表データです。
データの単位は記載されていますが、売上高の金額が高いため「0」が多く表示され、見づらいと指摘する方もいるでしょう(上図、左)。データの単位を適切に設定することで(上図、右)、同じ表データでも見やすく加工できます。
ここまでの例で、単位を省略せず記載する、次のようなメリットを紹介しました。
- 他の表データと単位を合わせられるため、目的の数字データを算出することができる。
- 誤解や勘違いから生じる数量等のミスを防ぐ。
様々な表データを使用し、Excel関数を利用して集計したデータでも、単位が異なる数字では目的に沿ったデータとは言えないでしょう。単位を省略しないことで、他の利用者も有用できる資料作りを目指してみてはいかがでしょうか。
Excelの書式設定を活用する
本連載の第2回(Excelの書き方を統一しよう!(第2回)数値データに文字を含めない - Excelで出来る業務改善)でも触れましたが、Excelの書式設定を活用すれば、セル内の数字データはそのままに、単位を表示することが可能です。
Excelの機能「書式設定」は、セルを選択し右クリック、「セルの書式設定」を選びます。複数のタブから様々な設定を行えますが、データの見た目を設定する「表示形式」タブを選びます。
¥マークであれば、【分類】から【通貨】を選択します(上図、左)。「個」「組」「セット」等の単位は【分類】から【ユーザー定義】を選択し、種類の入力箇所に表示する単位を入力します(上図、右)。Excelの書式設定で設定した単位は、表示されるためだけのため、数式内には数値データのみとなっています。数値データのみであるため、Excelの関数等でも使用することが可能です。
<ガイドラインを作成してみませんか?>
自身の業務について振り返ってみてください。
- 暗黙的なExcel作成のルールはありませんか?
- そのようなルールを作成した経緯・背景は何だったでしょう?
ルールやガイドラインは、作成していくうえでの不便や不都合など何かしらの状況発生を通して作成・蓄積されていくことが多いものです。
だとすれば、あらかじめExcel作成ガイドラインが用意されていれば、不便や不都合の発生を予防することができるかもしれません。冒頭で紹介した総務省のガイドラインをはじめ、他組織が策定したルール集やガイドラインを自身または自組織のガイドライン見直しのきっかけにも利用し、より良い内容に改善し続けていくことで、少しずつ身の回りの業務から不便がなくなっていくかもしれませんね。