Excelの書き方を統一しよう!(第7回)オブジェクトは使用しない
書き方の工夫で変わるExcel資料作りの作業効率
第7回は、Excelオブジェクトを使用するデメリットについて説明します。前回同様、実務現場での「あるある」的な実例を加えて補足説明しながら紹介していきます。
- キャンペーンの景品合計を開催回毎に別表へまとめる
- 入社手続き等、作業リストの更新
では、細かく見ていきましょう。
【テーマ7】オブジェクトは使用しない
総務省より公表されたExcel作成に関するガイドライン(統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール)に、以下の記載があります。
オブジェクトを使⽤して体裁を整えているため、機械判読に適していない。
オブジェクトを削除した上で、それぞれのセルにデータを⼊⼒すること。
ここでいうオブジェクトとは、図形やグラフ、ファイル等のことを示しています。ガイドラインによると、こういったオブジェクトを削除し、各々のセルにデータを入力するよう促しています。具体例を見ながら確認していきましょう。
キャンペーンの景品数を示す表データです。賞別の数量と全員プレゼント用の総付景品数量が記載され、A賞~C賞の景品の合計数、すべての景品の合計数を計算式で求めています。
オブジェクトを使用することより、A賞~C賞の景品の合計数であることを示しています(上図)。例えば、開催回毎の景品数量を別の表データにまとめる必要が発生したとします。このとき、オブジェクトはセル内のデータではないため、Excelの関数では認識することができません。項目名が同じ「合計」で示されている場合、どちらの「合計」を連携すべきか、Excelの関数では判断できず、連携のために項目名を書き直す手間が発生します。あらかじめオブジェクトを使用せず、項目名で判断できるようにしておけば、他の表データと連携時にExcelの関数のみで連携できます。
例外として、オブジェクトを使用したほうが良い場合もあります。例えば、総務の入社手続き一覧として、リスト形式に作業することを列挙した資料を考えます。
新入社員研修資料はWordで、座席表は別ファイルで他のフォルダに保存されている場合、印刷のために他のフォルダから検索する手間が発生します。リンクオブジェクトを埋め込むことで、別ファイルの保存場所を検索することなく、目的の資料を印刷することができます。
ここまでの例で、Excelオブジェクトを使用しない、次のようなメリットを紹介しました。
- 他の表データにまとめるために、項目名を入力し直す手間が省ける。
- ただし、他ファイルを参照する場合等はリンクオブジェクトを使用することで、他ファイルを検索する手間が省ける。
オブジェクトは「セル内のデータではない」意識を強めることで、集計等、関数を利用する必要があるときには使用を控え、他のファイルを参照する必要があるときは利用することで、手間を省くことが可能かもしれません。
<ガイドラインを作成してみませんか?>
自身の業務について振り返ってみてください。
- 暗黙的なExcel作成のルールはありませんか?
- そのようなルールを作成した経緯・背景は何だったでしょう?
ルールやガイドラインは、作成していくうえでの不便や不都合など何かしらの状況発生を通して作成・蓄積されていくことが多いものです。
だとすれば、あらかじめExcel作成ガイドラインが用意されていれば、不便や不都合の発生を予防することができるかもしれません。冒頭で紹介した総務省のガイドラインをはじめ、他組織が策定したルール集やガイドラインを自身または自組織のガイドライン見直しのきっかけにも利用し、より良い内容に改善し続けていくことで、少しずつ身の回りの業務から不便がなくなっていくかもしれませんね。