Excelの書き方を統一しよう!(第9回)機種依存⽂字を使⽤しない
書き方の工夫で変わるExcel資料作りの作業効率
第9回は、作成した資料をWindows以外で利用したり、他社と共有したりする場合等に、機種依存文字を使用しないメリットについて説明します。前回同様、実務現場での「あるある」的な実例を加えて補足説明しながら紹介していきます。
- 商品一覧表のデータを他社と共有し、商品カタログを作成する
- 受注データをプログラム等で読み込み、他システムに連携する
では、細かく見ていきましょう。
【テーマ9】機種依存⽂字を使⽤しない
総務省より公表されたExcel作成に関するガイドライン(統計表における機械判読可能なデータの表記方法の統一ルール)に、以下の記載があります。
機種依存⽂字は利⽤者の環境によっては正しく表⽰されない等の可能性がある。
そのため、機種依存⽂字は使⽤しないこと。
ガイドラインによると、正しく表示されない等の可能性があるため、使用を控えるよう促しています。機種依存文字については、Wikipedia(機種依存文字 - Wikipedia)に以下の記載があります。
機種依存文字(きしゅいぞんもじ)または環境依存文字(かんきょういぞんもじ)とは、電子的に扱う文字データのうち、処理系(ソフトウェアおよびハードウェア)によって違う文字に表示されたり、全く表示印刷できなかったりするものの慣用的な総称である。(中略)不特定多数との情報通信で機種依存文字を使用すると文字化けの原因にもなる。
Wikipediaでも、違う文字に表示されたり、まったく表示できない文字になる可能性もあると示しています。具体例を見ながら確認していきましょう。
商品の寸法や加工会社をまとめた表データです。この表データを他社と共有し、商品画像等を依頼して商品カタログを作成する場合を考えます。寸法サイズに誤解がないよう単位が記入され、備考として加工会社名も書き添えられています。
例えば、表データを共有する他社がWindows以外を使用していた場合、機種依存文字が正しく表示されない可能性があります。データに誤りがないにも関わらず、確認のためのやりとりという手間が発生してしまうかもしれません(下図、上)。あらかじめ機種依存文字を使用しない表データ(下図、下)を使用することで、確認の手間を省くことができます。
もう一つ、例を挙げます。受注情報の表データです。例えばプログラム等で受注情報を読み込み、他システムに連携する場合を考えます。
備考には、伝票印字時に表示する項目等を記載しており、氏名に機種依存文字が使用されています(上図、左)。機種依存文字はWikipediaにも記載があったように、処理系(ソフトウェアおよびハードウェア)によって違う文字に表示されたりする可能性があるため、受注情報を読み込み、他システムに連携するソフトウェア、伝票印刷のハードウェアによっては、表示されない又は正しく読み込めない可能性があります。表示する項目が誤った文字にならないためには、カタカナ等であらかじめ機種依存文字を使用しない方法(上図、右)があります。
ここまでの例で、作成した資料をWindows以外で利用したり、他社と共有したりする場合等に、機種依存文字を使用しない次のようなメリットを紹介しました。
- 他社と資料を共有する際に、使用している機種がWindowsかそれ以外かを気にせず、資料のデータを再確認する手間を省くことができる。
- 他プログラムとの連携する際等に、文字化けや印字ミス等を防ぐことができる。
社内間で使用する表データ等は、使用する機種などを気にする必要がない場合がほとんどかもしれません。あくまで限定的なシーンでの資料作成を例に挙げました。
<ガイドラインを作成してみませんか?>
自身の業務について振り返ってみてください。
- 暗黙的なExcel作成のルールはありませんか?
- そのようなルールを作成した経緯・背景は何だったでしょう?
ルールやガイドラインは、作成していくうえでの不便や不都合など何かしらの状況発生を通して作成・蓄積されていくことが多いものです。
だとすれば、あらかじめExcel作成ガイドラインが用意されていれば、不便や不都合の発生を予防することができるかもしれません。冒頭で紹介した総務省のガイドラインをはじめ、他組織が策定したルール集やガイドラインを自身または自組織のガイドライン見直しのきっかけにも利用し、より良い内容に改善し続けていくことで、少しずつ身の回りの業務から不便がなくなっていくかもしれませんね。